第17回看護人間工学部会総会・研究会報告

筑波大学大学院 佐伯由香

 会員の皆様におかれましてはますますご清栄のことと存じます。

 8月29日(土)、筑波大学において第17回看護人間工学部会総会・研究会が開催されました。一般演題の発表は7題、そして教育講演1題と特別講演1題の発表が行われました。

 一般演題は、ヘッドアップ角度の違いが身体面に及ぼす影響や脊髄損傷者の移動時の筋活動など、体位・移動に関する研究や、ストレス負荷時の身体反応、バイタルサインによる冷え性の特徴、体圧変化と睡眠との関係など身体機能に関する研究、そして点滴スタンドの脚部を取り除くことで病室環境を改善した成果、呼吸音を解析することによって呼吸器系の変化を予測し、健康管理に役立てるシステムなど、広範囲にわたる内容の発表が行われました。

 そして教育講演には佐藤政枝先生(首都大学東京健康福祉学部看護学科)をお迎えして「看護人間工学からみた姿勢・動作の分析」というタイトルで、人工股関節全置換術を受けた患者の脱臼を回避する生活動作やこれらを支える物的環境の活用等について、これまでの研究成果をご講演いただきました。まさに看護人間工学そのものの内容で、今後の研究に役立った先生も多かったのではないでしょうか。また、特別講演では水野智美先生(当時近畿大学教職教育部、現筑波大学)に「海外における点字ブロックの設置の誤りと適正化のための課題」というタイトルでご講演いただきました。私たち、健常者は何気に見過ごしている点字ブロックですが、いかに不適切に設置されているか、そのために視覚障害者がいかに困っているか改めて考えさせられた内容でした。

 一般演題、教育講演、特別講演、いずれも活発な意見交換が行われ、参加された先生方にとって、何か得られたものがあれば幸いに思います。また、参加されなかった会員の先生方も研究誌に抄録を掲載する予定でおりますので、是非ご参考にしていただきたいと思います。

 最後に、開催のご案内が遅れたうえ、種々の準備不足で参加者に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びするとともに、あのような環境下で最後まで参加してくださった先生方に深く感謝いたします。