第16回日本人間工学会看護人間工学部会研究会の報告

岩手看護短期大学
平野三千代

 平成20年8月30日に第16回日本人間工学会看護人間工学部会研究会を岩手県滝沢村(盛岡市のベッドタウンです)にある岩手看護短期大学で開催させて頂きました。

岩手県では今年、二度も大きな地震があり、研究会が開催できるのかという、心配の声もありましたが、幸い盛岡近郊にはほとんど被害がありませんでした。また、(地球温暖化の影響で、)今年は各地で集中豪雨のニュースが報じられ、前日、29日の夜も雷を伴った大雨で心配しておりましたが、当日は曇りながら、なんとか夕方まではもってくれて、約50名のご参加をいただき、無事に終了することができました。

部会長の西田先生から、「演題数は地方で実施した場合は、少ないのですが12題という多くの参加をいただいて」という、嬉しいコメントを頂き、さらに12題の演題に加えて、野呂先生と大川井先生、御二人の、豪華な「教育講演」、「特別講演」が研究会を盛り上げて下さいました。また、野呂先生の新作の椅子を展示するコーナーを設け、最先端の人間工学の研究成果に触れることができました。

折角の機会ですので、夏季休暇中でしたが、「教育講演」と「特別講演」を聞かせたいと思い、学生も参加させていただきました。

学生たちは1年生でしたが、「研究の進め方」は分かりやすく、興味を持って聴いたという意見、DVDで実験の様子が分かり面白かった、立派な器械でなくても工夫で、研究ができることを聞いて自分でもできるかもしれないと思った、という声がきかれました。

「特別講演」では福祉工学という立場で「排泄支援や24時間の健康見守り手法」についてのお話を聴いて、普段は看護という立場でのみ、物事を考えたり、講義を受けているのでとても新鮮だった、視野が広がった、という声を聞くことができました。

12題の演題のうち、3題は本学の看護人間工学研究部会に所属している教員が指導してまとめた、3年生の卒業研究(本学は短期大学で、7月25日が卒業研究の締め切り)でした。

学生にとって、このような研究会で発表するのは負担が大きすぎるかと心配しましたが、学生からはこの研究会の雰囲気がアットホームで、リラックスして、普通の会話で質疑応答ができたという意見が聞かれました。また、専門家の先生から、的確なアドバイスをいただき、研究をこれからも頑張っていこうと思うことができた、他者の発表を聞いて看護だけでなく、日常に関する研究にも気がつき視野が広がったという意見もありました。私たちも、学生のためになると思い参加させましたが、期待を超える反応があり、このような会をさせて頂いたことを感謝しております。

教員からは、卒業生、学生に発表の機会を与えていただき、学生たちに自信をつけさせて頂いたことに感謝します、ということと、身近なところに研究課題があることを改めて認識できた、地域看護学専攻の教員からは、「特別講演」で、地域看護の面で「家自体を健康見守りロボットにしたい」というお考えに深く感銘を受けた、など教員にも多くの影響を与えていただきました。

また、岩手医科大学付属病院をはじめ、近隣の病院に勤務する看護者の方々のご参加もいただきました。この研究会は東北の岩手に多くの波紋を起こしてくださったようにも思われます。

盛岡で開催することをご許可いただいた看護人間工学部会長の西田先生はじめ役員会、事務局の先生方に、改めて深く感謝申し上げます。