私たちの周りには様々な機械や技術、環境が存在します。その多くは人間自身がより便利で快適な生活を送るために用意したものですが、そうした機械や技術の中には、使いこなすのが難しかったり、かえって不便を強いるものが、少なくありません。そこで、人間に優しい技術、使いやすい機器、人間の能力にふさわしい用具・技術・環境の条件を研究し、より安全な製品の開発、快適な仕事場や住まい、高齢者に優しい環境、使いやすい情報機器、ストレス対策に役立てようとする学問領域が人間工学です。
この分野を総合的に扱っているのが日本人間工学会で、年1回の大会開催、機関誌「人間工学」の刊行、支部や専門研究部会の設置、ISO委員会・人間工学専門家資格認定委員会などの委員会活動、人間工学適用へのコンサルテーション、人間工学技法と応用に関する講習会の開催などの事業を行っており、現在約2000人以上の会員が所属しています。そのなかで看護人間工学部会は、看護領域にかかわる研究をとおして、会員相互の研究活動の推進と活性化を図ることを目的に、日本人間工学会の研究部会として1982年に設立されました。現在100人強の会員が所属しており、看護職に限らず医療看護分野で人間工学的領域に関心のある人が対象になっています。
主な活動として、看護人間工学大会、関東支部大会の開催、日本人間工学会システム関連部会への参加、研究例会・施設見学・講演会などの開催、「看護人間工学研究誌」の刊行などがあります。
患者さんにとって治療の場であると同時に生活の場でもある病院について、看護人間工学部会では、病床環境の快適性(安全・安楽)の追求、早期社会復帰のための施設・設備の検討、働く側である看護職の作業環境や安全性について研究・啓発活動を行っています。