エアマットレス使用時の寝床内気候についての検討

 

○徳重あつ子,阿曽洋子,矢野祐美子,伊部亜希,松邨敦代

(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻)

 

An examination about the air temperature and humidity in the bed

by use of an air-mattress

Atsuko Tokushige, Yoko Aso, Yumiko Yano, Aki Ibe, Atsuyo Matsumura

(Graduate School of Medicine, Course of Health Science, Nurse science,

Division of Health Promotion Science, Osaka University)

 

 研究目的は、2時間の安静臥床条件でエアマットレスを使用した時の寝床内気候と身体圧迫部位の皮膚温を測定し、適切な寝床内気候について検討することである。被験者は、年齢20歳代前半健康な女性10名。2003630日から73日の4日間で、大阪大学医学部保健学科内の人工気象室(設定:室温22℃、湿度50%)において実験を行った。使用したエアマットレスは、ドイツA社のBMI調節静止型エアマットレスである。実験後に「むれ感」に対する主観調査も行った。分析は、10秒毎に得られた測定値から各被験者の10分間毎の平均値と10名全体の平均値を求めた。また、寝床温度・湿度から不快指数を求めた。

 全体平均では、寝床温度は、26.0℃から2時間で33.1℃まで上昇を続けた。寝床湿度は、57.3%から上昇・下降・上昇と変動し、2時間時点では60.3%となった。仙骨部皮膚温は、2時間で33.1℃から36.4℃まで上昇し続け、35.0℃を超えたのは40分の時点であった。個別にみると、2時間時点で5名の仙骨部皮膚温が36.5℃を超えていた。肩甲骨部皮膚温は、33.7℃から35.6℃に上昇し、35.0℃を超えたのは60分時点であった。母趾皮膚温は、32.5℃から36.1℃まで上昇を続け、35.0℃を超えたのは60分時点であった。仙骨部皮膚湿度は、59.5%から89.5%まで上昇を続けた。不快指数は、実験開始時点は「快適」、10分では「やや暑い」、20分以降は「暑くて汗が出る」という判定であった。「むれ感」に対する主観調査は、「かなりあり」が4人、「あり」が4人、「どちらかといえばなし」が1人、「なし」が1人。

 皮膚温が36.5℃になった時点が、蒸発による体温調節の限界であると言われている。今回実験で用いたエアマットレスでは、40分〜60分で暑さやむれに対して体位変換等のケア介入が必要であると考えられた。